「同じ緑内障なのに、知人とは治療方法が違う」 「私は眼圧が正常なのに、なぜ緑内障なの?」 「症状がないのに、レーザーや手術を勧められた」
このような疑問を感じたことはありませんか。
緑内障は一つの病気ではなく、原因や眼の構造によっていくつかの種類に分けられます。
今回は、成人の診療でよく耳にする、
- 眼圧が高いタイプの原発開放隅角緑内障
- 正常眼圧緑内障
- 原発閉塞隅角緑内障とその前段階
について説明します。
なお、厳密には正常眼圧緑内障は、原発開放隅角緑内障を広く捉えた場合の一つのタイプです。また、緑内障にはこのほかにも、他の病気や薬剤が原因となる続発緑内障、小児緑内障などがあります。
「隅角」とは
眼の中には、房水という水が循環しています。
この房水が眼の外へ流れ出る出口は、角膜と虹彩の間にあり、この部分を隅角と呼びます。
隅角が開いているのか、狭いのか、閉じているのかによって、緑内障の種類や治療方法が異なります。
| タイプ | 隅角の状態 | 眼圧 | 治療の中心 |
|---|---|---|---|
| 原発開放隅角緑内障(眼圧が高いタイプ) | 開いている | 高い | 点眼、レーザー、手術で眼圧を下げる |
| 正常眼圧緑内障 | 開いている | 正常範囲内 | 現在の眼圧からさらに下げる |
| 原発閉塞隅角緑内障とその前段階 | 狭い、または閉じている | 上昇することがある | レーザー虹彩切開術、水晶体摘出術(白内障手術)など |
眼圧が高いタイプの原発開放隅角緑内障
原発開放隅角緑内障では、房水の出口である隅角そのものは開いています。
しかし、出口の奥にある線維柱帯という部分で房水が流れにくくなり、眼圧が高くなります。その眼圧により視神経が傷み、視野障害が進行します。
多くは慢性的にゆっくり進行するため、初期には自覚症状がほとんどありません。
治療では、点眼、レーザー、手術などを用いて眼圧を下げます。
正常眼圧緑内障
正常眼圧緑内障も、隅角は開いています。
眼圧が統計学的な正常範囲内であるにもかかわらず、視神経が傷み、緑内障性の視野障害が生じるタイプです。
「眼圧が正常なら、眼圧を下げる必要はないのでは」と思われるかもしれませんが、正常眼圧緑内障でも、現在の眼圧よりさらに下げることで進行を抑えられることが分かっています。
眼圧が「正常か異常か」だけでなく、その患者さんの視神経がどの程度の眼圧に耐えられるかが重要です。眼圧の基準については眼圧の正常値|10〜21mmHgでも緑内障?でも解説しています。
原発閉塞隅角緑内障とその前段階
原発閉塞隅角緑内障では、虹彩などによって房水の出口である隅角が閉じ、眼圧が上昇します。
実際には、すでに視神経が傷んでいる「原発閉塞隅角緑内障」だけでなく、
- 隅角が狭く、閉じる可能性がある状態
- 隅角が一部閉じているものの、まだ視神経障害がない状態
などの前段階もあります。
そのため、患者さん自身には見え方の変化がなくても、将来の急激な眼圧上昇や慢性的な視神経障害を防ぐ目的で、治療を提案されることがあります。
症状がないのに、なぜレーザーや手術をするのか
隅角が閉じる主な仕組みの一つに、虹彩によって房水の流れがせき止められる「瞳孔ブロック」があります。
この状態を解消するために、
- 虹彩に小さな穴を開け、房水の通り道を作るレーザー虹彩切開術
- 水晶体を取り除くことで眼の前方の空間を広げ、隅角を開きやすくする水晶体摘出術・白内障手術
などが選択されることがあります。レーザー虹彩切開術は瞳孔ブロックの解消に有効であり、水晶体摘出術は瞳孔ブロックの解消と隅角の拡大の両方に役立つことがあります。
現在困っている症状がないのに治療を勧められると、戸惑うのは自然なことです。
しかし、閉塞隅角に対する治療は、現在の見え方を改善するためではなく、将来の急性発作や視神経障害を防ぐ目的で提案される場合があります。
ただし、隅角が狭いと言われた方全員に、直ちに同じ治療が必要なわけではありません。隅角の状態、眼圧、年齢、水晶体の厚み、癒着の有無などを考慮し、経過観察と予防治療のどちらが適切かを個別に判断します。低リスクの原発閉塞隅角症疑いを対象とした研究では、予防的レーザーの効果は認められたものの、発症率自体が低く、全員に一律に行う意義は限定的と報告されています。
急性緑内障発作とは
隅角が急に閉じて眼圧が著しく上昇すると、急性緑内障発作を起こすことがあります。
主な症状は、
- 突然の激しい眼痛
- 強い頭痛
- かすみや視力低下
- 光の周囲に虹が見える
- 吐き気や嘔吐
- 眼の充血
などです。
夜間を含めて突然発症し、痛みや吐き気が強いため、救急受診が必要になることもあります。
急性発作が疑われる場合は、すぐに受診を
非常に高い眼圧が続くと、短時間のうちに回復しない視神経障害や重い視力低下につながるおそれがあります。急性発作が疑われる場合は、翌日まで待たず、速やかに眼科へ連絡または救急受診してください。
まとめ:同じ緑内障でも、治療の目的は異なる
- 開放隅角緑内障では、開いている房水の出口からの流れが悪くなっている
- 正常眼圧緑内障では、眼圧が正常範囲でも視神経障害が起こる
- 閉塞隅角では、房水の出口そのものが狭い、または閉じている
- 閉塞隅角では、自覚症状がない段階で急性発作を防ぐ治療が提案されることがある
- 治療の必要性は、緑内障の種類と患者さんごとのリスクによって異なる
「自分はどのタイプなのか」 「今回の治療は、眼圧を下げるためなのか、急性発作を防ぐためなのか」
を主治医に確認すると、治療の目的を理解しやすくなります。
緑内障の基本は緑内障とは?症状・原因・治療の基本、白内障との違いは緑内障と白内障は何が違う?で解説しています。
医療免責事項
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